●買う気がしない「ローマ人の物語」


2005.08.20.

新潮文庫のベストセラーで、塩野七生氏の「ローマ人の物語」という本がある。
ご存知の方も多いだろうが、いちおう説明すると、
イタリア在住の「ローマおたく(?)作家」塩野七生氏のライフワークともいえる作品で、全15巻予定(現在13巻まで刊行中)の大労作である。

「全15巻」というのは単行本での話で、文庫本では、さらにもっと細かく分冊されている。
例えば……
「ローマ人の物語IV ユリウス・カエサル ルビコン以前」(上)
「ローマ人の物語IV ユリウス・カエサル ルビコン以前」(中)
「ローマ人の物語IV ユリウス・カエサル ルビコン以前」(下)
「ローマ人の物語X ユリウス・カエサル ルビコン以後」(上)
「ローマ人の物語X ユリウス・カエサル ルビコン以後」(中)
「ローマ人の物語X ユリウス・カエサル ルビコン以後」(下)

……と、文庫本では「ユリウス・カエサル」と名の付く巻だけでも全部で6冊にもなる。
実はわたしは、これがどうしても気に食わないのだ。

わたしは、この「ローマ人の物語」が単行本で刊行され始めた頃から、買おうかどうか考えていたのだが、しかし、いずれは文庫本化されるだろうと思い、今まで購入を手控えていた。
そして、数年前から、待望の「文庫本化」が始まったワケだが、な、なんなんだこれは?
なんで、こんなに「コマ切れ」に分冊されているのか? 
これじゃあ、さっぱり買う気がしない。
結局、わたしは文庫本で第1巻だけ試しに買ってみたのだが、それ以後、購入をためらったまま、今に至っている。

文庫本の最大の魅力は、その「手軽さ」にあると思う。
だからこそ作者は、携帯に便利なように(?)「分冊」することに決めたのかも知れない。
しかし、それはどう考えても「逆効果」である。
例えば、わたしが「ルビコン以後」の「中巻」を電車のなかで読んでいたとする。
そしてふと、巻頭に付いていた地図を読みたくなったとしたら、どうするのか? 
しかし、それは「上巻」の巻頭だけにしか付いていないため、読みたくても読めないのである。
あるいは「下巻」の巻末の年表を読みたくなるかも知れない。
つまり、結局3冊全部を携帯しなければならないことになる。

また、このままの調子でいくと、文庫本で全巻そろえれば、全部で40冊ぐらいになってしまう。
これじゃあ、ぜんぜん「手軽」な感じがしない。
単行本で全15巻そろえるよりも、もしかしたら分量としては、かさばってしまうのではないか?
あぁ、なんてことだ。これじゃあ、単行本で15巻そろえた方が「マシ」ではないか。

……それとも、そういう風に読者に思わせて、
値段の高い単行本の方を買わそうという、出版社側の「陰謀」なのだろうか?


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