●とっておきの怖い話
2005.10.12.
以前にも一度「怖い話」を書きましたが、今回はさらに「とっておきの話」を披露します。
い、いや、まあ、過度の期待はしないで下さい……。
以前の記事にも書いたことだが、わたしは小学校の低学年くらいまで、大正年間に建てられたという結構古い家に住んでいた。(→「ぼっとん便所の話」参照)
今ではもう取り壊されて、現在はウチの「いとこ」が、そこに新しく家を建てて暮らしている。
さて、そのいとこの、5歳になる一人息子が、時々奇妙なことを口走るらしいのだ。
「今ね、そこの庭のところにおじいちゃんが立ってるよ」
もちろん、いとこ夫婦には見えない。その子どもだけが見えるのだ。
「きっと十数年前に亡くなったおじいちゃんが、ひ孫の顔を見に来てたんだろう」
などと、そのいとこはわたしに「心温まる怪異譚(?)」として語ってくれたのだが、わたしはそれを聞いて、身の毛がよだつ思いがした。
その人は「おじいちゃん」ではない。「ひいおじいちゃん」だ。わたしはとっさにそう思った。
実は、我が家にまつわる奇妙な「伝説」があるのだが、ウチのいとこはその話は知らない。
30年前、その旧家に住んでいたわたしたち親兄弟しか知らない「ある伝説」が存在する。
それは「ひいおじいちゃん」に関する話だ。
一説によると、その「ひいおじいちゃん」は、旧家の庭にあった井戸に身投げして死んだと言い伝えられている。または、「ひいお婆ちゃん」に突き落とされて井戸で死んだとも言われている。
ふたりの間に何があったのかは知らない。いずれにしろ、尋常な死ではない。
その後、その井戸はフタで密封されてしまい、二度と使われなくなった。
ところが、それから数十年して、いとこが新たにその土地に家を新築する際、密封されていたその「パンドラの箱」を、再び開いてしまった。
飲料水には使ってないようだが、ポンプで汲み上げ、庭の水まき用に井戸水を使用しているらしい。
そんなことをしたモノだから、その庭に「ひいおじいちゃん」が現れるようになったのではないか?
……以上の伝説は、わたしの母がその昔、「お寺の住職」から聞いたという話をもとにしている。
情報源が「住職」というところが、いかにももっともらしい話のようにも思えるが、
しかし、実際のところ、事の真相はどうだったのか、今となっては誰にも分からない。
いや、唯一「事の真相」を知っている人間がいるとすれば、それは、いとこの一人息子だろう。
その子によると、その「おじいちゃん」はおだやかにニコニコと笑いながら庭に立っているらしい。
もしそうなら、あの伝説は単なる「ガセ」で、実際は結構おだやかな死だったとも思えるのである。
追記:
実はこの記事は、今年の夏ぐらい(つまり、前回の「怖い話」の直後ぐらい)に書いたものである。
しかし、書いてるうちに自分自身が怖くなって(?)、発表するのをしばらく手控えていた。
というのも、実はわたし自身、幼稚園ぐらいのころに、その旧家の庭で見知らぬおじいさんを目撃したような、そんな記憶がかすかにあるからなのだ。
……しかし今回、ほかに書くようなネタもないので、この記事を「お蔵出し」することにした。
つまり、そういう意味において、この話はまさに「とっておき」なのである。
い、いや、まあ、過度の期待はしないで下さい……。
以前の記事にも書いたことだが、わたしは小学校の低学年くらいまで、大正年間に建てられたという結構古い家に住んでいた。(→「ぼっとん便所の話」参照)
今ではもう取り壊されて、現在はウチの「いとこ」が、そこに新しく家を建てて暮らしている。
さて、そのいとこの、5歳になる一人息子が、時々奇妙なことを口走るらしいのだ。
「今ね、そこの庭のところにおじいちゃんが立ってるよ」
もちろん、いとこ夫婦には見えない。その子どもだけが見えるのだ。
「きっと十数年前に亡くなったおじいちゃんが、ひ孫の顔を見に来てたんだろう」
などと、そのいとこはわたしに「心温まる怪異譚(?)」として語ってくれたのだが、わたしはそれを聞いて、身の毛がよだつ思いがした。
その人は「おじいちゃん」ではない。「ひいおじいちゃん」だ。わたしはとっさにそう思った。
実は、我が家にまつわる奇妙な「伝説」があるのだが、ウチのいとこはその話は知らない。
30年前、その旧家に住んでいたわたしたち親兄弟しか知らない「ある伝説」が存在する。
それは「ひいおじいちゃん」に関する話だ。
一説によると、その「ひいおじいちゃん」は、旧家の庭にあった井戸に身投げして死んだと言い伝えられている。または、「ひいお婆ちゃん」に突き落とされて井戸で死んだとも言われている。
ふたりの間に何があったのかは知らない。いずれにしろ、尋常な死ではない。
その後、その井戸はフタで密封されてしまい、二度と使われなくなった。
ところが、それから数十年して、いとこが新たにその土地に家を新築する際、密封されていたその「パンドラの箱」を、再び開いてしまった。
飲料水には使ってないようだが、ポンプで汲み上げ、庭の水まき用に井戸水を使用しているらしい。
そんなことをしたモノだから、その庭に「ひいおじいちゃん」が現れるようになったのではないか?
……以上の伝説は、わたしの母がその昔、「お寺の住職」から聞いたという話をもとにしている。
情報源が「住職」というところが、いかにももっともらしい話のようにも思えるが、
しかし、実際のところ、事の真相はどうだったのか、今となっては誰にも分からない。
いや、唯一「事の真相」を知っている人間がいるとすれば、それは、いとこの一人息子だろう。
その子によると、その「おじいちゃん」はおだやかにニコニコと笑いながら庭に立っているらしい。
もしそうなら、あの伝説は単なる「ガセ」で、実際は結構おだやかな死だったとも思えるのである。
追記:
実はこの記事は、今年の夏ぐらい(つまり、前回の「怖い話」の直後ぐらい)に書いたものである。
しかし、書いてるうちに自分自身が怖くなって(?)、発表するのをしばらく手控えていた。
というのも、実はわたし自身、幼稚園ぐらいのころに、その旧家の庭で見知らぬおじいさんを目撃したような、そんな記憶がかすかにあるからなのだ。
……しかし今回、ほかに書くようなネタもないので、この記事を「お蔵出し」することにした。
つまり、そういう意味において、この話はまさに「とっておき」なのである。
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